No.14 『 海岸線 』

kneedrop72012-07-24

 『 海岸線 』 作詩:小沢幸一


ぼくときみの他には
群らがる カモメだけ
秋の海の淋しさを 誰も知らない
一艘の船 波に揺られ
真っ黒に焼けた 海の男には
帰る家があるけれど
いまの きみとぼくには
暖める愛もない


太陽を映して 銀色に輝く海
波頭がまた いきおいをつけて
押し寄せるたびに 砂に濡れて段を描く
二人の足跡 打ち消して行く
きみとぼくの昨日までの愛 消して行く


別れるために 二人で秋の海に来て
言い出せないままに きみの横顔見つめている
帽子を深めにかぶって 泣いているきみを
抱きしめてあげたいけど・・・・



ぼくは風まかせの旅人
見知らぬ街を求め
捜し歩いてゆく ボヘミアン
少し遠くまで来てしまったから
「きみの愛」という名の駅で
休んでいただけ


秋の海は ぼくのそんな弱さを
風と波で 卑怯者と
ののしりながら きみをなぐさめている


ありがとう きみ
Very obliging you

             
                  1979年作品



・・・・お知らせ・・・・・・


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